最近ではアメリカのトランプ大統領が自ら「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」という暗号資産プロジェクトが立ち上げたりと、クリプト界隈は例年以上の盛り上がりを見せています。さらに、このような誕生したばかりの新しい仮想通貨は、上場後に大きな価格上昇を実現する可能性があります。したがって、投資家たちは常に実用性を備えた価値のある新規銘柄をチェックしている状況です。

そのような市場のなか、最近はSNSなどで「ベータ版ローンチ」という言葉を見かける機会が増えてきました。しかし、トレンド敏感な投資家の中には「すぐにでも試してみたい」と考える人がいる一方で、「まだ完成していないのになぜ、使わせるのか」「正式版から使ってもらった方が、投資家の満足度は高くなるのでは?」といった疑問を抱く人も少なくないでしょう。

そこで記事では、暗号資産のベータ版ローンチにおける開発者の狙いや投資家のメリットを掘り下げていきます。

暗号資産のベータ版ローンチとは

ベータ版とは、プロダクトを正式に発表する前の試用に使われる、テスト版のことを指します。

 

たとえば、日本発のゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」は、2024年7月にAIを活用したGUIデプロイツール「Oasys Spring」のベータ版をローンチ。ゲーム開発者が、スマートコントラクトをよりスムーズかつ安全に展開できる仕組みの提供を開始しました。加えて、ベータ版ローンチを記念して抽選で100名に100OASトークンを配布するキャンペーンを実施することで、早期投資家のエンゲージメントを高めることに成功。

 

正式なサービス公開の前から投資家の信頼度を向上させつつ、ネットワークが安定して動作するか、トランザクション処理がスムーズか、料金体系が妥当かなどの確認作業を行っています。

開発者がベータ版ローンチを行う理由

上記のOasysの事例が示すように、暗号資産プロジェクトの開発者にとってベータ版は「仕様通りに動くか」だけではく、「ユーザーが望む機能をしっかりと提供できているか」という答え合わせの機会であると言えるでしょう。

そして、ベータ版を通じて実際にユーザーの声を取り入れ、正式ローンチに至ることで「このサービスを一緒に作っている」という一体感が生まれ、初期のコミュニティづくりにも役立ちます。

投資家にとっての価値

ベータ版と聞くと「バグが多いのでは」「UI/UXが曖昧で使ってもあまり意味がないのでは」と想像する投資家も多いかもしれません。ですが、ベータ版の段階でサービスに触れることで、そのプロジェクトが本当に期待できるものなのか、早い段階で感触を得ることが可能です。そして、プロジェクトのホワイトペーパーや公式SNSの情報だけでは見えない部分が、触ってみることで直感的に伝わってくることもあるはずです。


さらに、先ほどベータ版「Oasys Spring」の紹介でトークン配布に関するキャンペーンに触れたように、ベータテストに参加することでエアドロップやNFTの先行配布といった先行報酬を受け取れるケースも増えています。もちろん、プロジェクトが最終的に上場した場合、報酬で獲得したトークンやNFTは大きな価格上昇をみせる可能性が高いでしょう。

クローズドベータとオープンベータ

ベータ版ローンチには、実は2つのスタイルがあります。1つは「クローズドベータ」。これは招待されたユーザーのみに限定公開されるもので、テスト環境を丁寧に管理したいときに向いています。開発チームが信頼する一部の人に使ってもらい、深いフィードバックを得ることが目的です。

もう1つは「オープンベータ」。こちらは誰でも参加可能で、数千〜数万人規模のユーザーが一気に集まることもあります。大規模なトラフィックに耐えられるかどうか、いろいろな端末で不具合が出ないか、より実戦に近い条件でのテストになります。

どちらを選ぶかはプロジェクトの性格や開発段階によって異なりますが、丁寧に改良を重ねたい初期フェーズではクローズド、話題性やスケーラビリティを試したい段階ではオープンベータ、というのが一般的です。

まとめ

本記事で紹介してきたように、暗号資産のベータ版ローンチは「まだ完成はしていない」が、「完成度を高めるために、あえて早い段階で公開する」というステップです。

 

開発者はこの期間を通じて、これまで気づけなかったバグや使いづらさを洗い出し、正式版に向けて改善を重ねます。そして、投資家にとっては新しいサービスを誰よりも早く試せる貴重な体験であり、開発の裏側に参加しているような楽しさも味わえるでしょう。

 

ベータ版ローンチは単なるお試し期間ではなく、プロダクトの成功を一層引き寄せるための実践的なステップであると言えます。